Connecting the Dots

アメリカの公衆衛生大学院留学に関するブログです。

久しぶりの投稿

前回のブログを書いてから1ヶ月半空いてしまった。

忙しいと感じていてもできる限り定期的に発信を続けたいなと思っているけど、気がついたらかなり時間が経過してしまった。

 

ただ、有り難いことに、この1ヶ月半の間もブログにアクセスしてくれている方がいる。

 

Public Healthは今後日本にとっても世界にとっても重要性が増すことはあっても減ることはないと思う。最近は様々なSNSを通して公衆衛生大学院への留学に関する情報にアクセスしやすくなったように感じている。留学することが必ずしもいいというわけではないと思うけど、ぜひ様々なソースから情報を集めていただいて、その上でベストな選択ができる方が増えていけばいいなと思っている。

 

お問い合わせフォームを貼り付けておきます。

もしもSPHへの留学などについてご質問があれば、お気軽にご連絡下さい。

留学が決まってから留学開始までにすること② ~番外編~

**2月4日 特に後半部分を修正・追記しました**

 

前回の記事(留学が決まってから留学開始までにすること①)では、思いつくままに、

・統計ソフトの勉強

・疫学や生物統計学の予習

・英語力の強化

・指導教官(になってほしい教授)の研究内容についての詳細の把握

 

を挙げさせていただいた。

 

今回は上記に比べると番外編になる。

 

それは、単純だが、留学の準備に際して相談したりお世話になった人、こういった方たち1人1人に留学が決まった旨報告をして、感謝の気持ちを伝えることだ。

 

”するべきこと”

というよりは、

”忘れがちになるけど大切だと思うこと”

と書くほうが適切かもしれない。

 

もちろんすべての人が忘れがちになるわけではないと思うが、個人的な経験を書くと留学が決まると気持ちが一気に留学開始後の状況にフォーカスする。留学決定から日本を発つまでの準備期間はとても忙しい上に、留学生活が始まってから少しでも幸先のよいスタートを切りたくなり、英語や留学先での授業のことなどがとても気になる。

 

そんなとき、これまでしてきたこと、してもらったことを忘れやすくなるように感じている(あくまでも主観だが)。

 

準備期間中、特にお世話になった何人かの人には直接報告してお礼を伝えたりはできると思うが、実は留学準備中にお世話になったり相談させてもらった人は、振り返ると自分でも驚くほどたくさんいた。遠方にいて会えない人や、中には一度もお会いしたことがなくメールのやり取りのみの人もいた(海外の公衆衛生大学院についての情報は中々得にくかったので、準備中色々な人を紹介してもらったりした)。

 

そういった方々にもできるだけ1人1人メールなどで報告して感謝の気持ちを伝えることを、個人的にはおすすめしたい。

 

留学前にお世話になった人には、実は留学中もお世話になる可能性がある。実際に、私も何人かの方にアドバイスをいただき、留学前と同様にお世話になっている。そういった方たちは私の報告や感謝などなくても助けてくれていたかもしれないが、それでもそういった方のことを大切にすることは大切だ。

 

また、留学すると生活が大変だったり将来のことが保証されていなかったりと、不安になる瞬間が多々ある。留学を自分1人の力では実現できなかったように、留学中も周りの人の支えなしには生活できないと感じることが多い。

 

海外に行っても良い意味で日本でお世話になった人たちとの関係を維持し、大切にすることを、おすすめしたい。

 

 なんだかまとまりのない文章になってしまったが、今回はなんとなくの気持ちということで…。周囲の人を大切にすることの大切さを、留学準備と留学生活を通して実感している。

留学が決まってから留学開始までにすること①

前回の記事を書いて以降、次に何を書こうか迷っていたのだが、一度以前からぼんやり書きたかったことを書こうと思う。

 

公衆衛生大学院の場合は留学が決まってから留学開始までに数ヶ月から半年ほどの期間があることが多い。この間にそれまでにしていた仕事+VISA申請、引越し準備など色々やることがあり、大抵の場合直前はとても忙しくなるのだが、それでも留学に向けて何か準備できることはないか…少しでも余裕をもってスタートさせたい…と考える。

 

その場合、前回書かせていただいた統計ソフトの勉強は候補の1つかもしれない。もちろん統計ソフトの使用が必要ないのであればしなくてよいのだが、MPHをはじめとする多くのプログラムで生物統計学は必修の科目の1つ。ただし、生物統計学が必修でも統計ソフトを使用するかどうかはコースによって分かれることもある。実際、私が学んでいる大学院では生物統計の要となるコースがレベル別に複数に分かれていて、ソフトを使用しないコースも用意されている(生物統計は必修だけど卒業後に統計ソフトは必要としない or 他の科目によりウエイトを置いてコースを選択したいという学生に向いていると思う)。

 

特に留学先の大学院で使用するソフトがSTATA、Rなどと分かっている場合は、最近はオンラインの教材も充実しているので、それらを利用しながら勉強できるだろう。問題なのはRではない場合はソフトを購入するときに決して安くはない料金がかかるのと、学生だと割引で購入できるので入学してから購入したほうがお得になる可能性があることか。

 

統計ソフトの勉強もいいが、疫学や生物統計学の勉強も有力だと思う。これらは、特に留学先の一番基礎的かつ必修のコースで使用する教科書などを事前に調べておいて、それを使って勉強しておけば留学生活で余裕をもってスタートできると思う。ただし、留学してから分かったのだが、多くの教科書は学生は無料でダウンロード(またはweb上で閲覧)することができる。これは違法でという意味ではなく、大学側が用意してくれている(*大学によってこのあたりのルールは異なる可能性があるので、事前に確認しておくとよいかもしれない)。紙の本は無料ではもらえないので、紙の本で勉強したい人は日本にいるうちに購入しておくのもいいかもしれないが、円で(日本で)買うよりドルで(アメリカで)買ったほうが安い教科書が多いので、ここでも注意が必要だろう。あと、本が多いと移動(引っ越し)が大変です…。

 

疫学や生物統計学は日本語の教科書や参考書も複数あるのと、これらの分野は概念を理解することが重要なので、日本語の本を一冊買って勉強するというのも個人的には十分アリだと思う。

 

あとは英語。これは英語に不安のある人なら誰しもが思いつくと思うし、私も英語が一番不安だったので少しでもなんとかしたいと思っていた。英語については日本にいるとどうしてもモチベーションが上がらないかもしれないが、Reading, Listening, Speaking, Writing、どれにフォーカスしてもいいだろう。会話ができるほど生活自体が楽になるのでSpeakingとListeningに力を入れたらいいかとも思ったが、かといって読む力・書く力ももちろん重要なので、何にフォーカスを置くかは人それぞれだろう。留学が決まった段階であれば英語の勉強法は十分熟知されていると思うので、自分がやれる範囲でやれるだけやれば、それは必ず留学先で生きてくるはず。

 

それから、留学したらできるだけ早めに自分のアドバイザー・指導教官となりそうな教授、言い換えると自分が関心のある分野を専門としている教官にコンタクトを取れるようにしておくとよい。これは多くの方から聞いた話なのと、私自身もそのように実感している。従って、大学院のホームページ等で教官のリストをみて、研究内容や受け持っている授業、publishされている論文等を確認しておくとよいだろう。もちろん、出願の時点でこれらはすでに終わっているということであれば、尚良いと思う。

統計ソフトの話

医療やPublic Healthに限った話ではないが、研究をする場合は統計ソフトを使用することが多い。統計ソフトにはSTATA, R, SAS, SPSSなど色々あるが、私が入っている大学院ではSTATA, Rのどちらかを使用している人がほとんどを占めている。統計ソフトを主に使用する生物統計学(Biostatistics)のコースの最初に選んだのだが、特にRを強く希望などのpreferenceのない学生は基本的にはSTATAをすすめられ、私もSTATAを選択した。SASの使い方を学ぶコースもあるが、卒業後にSASを使用する可能性が高い学生など、一部の学生に限られている印象だ。

 

MPHやMSPHなどの修士課程に入学する前から統計ソフトをある程度使用していた経験のある学生は、専攻にもよるだろうがおそらく3割にも満たないのではないか。日本人でSPHに留学する学生は元々臨床研究をしていたがさらに深く体系的に学びたいという動機を持った方が(他の国からの学生よりも)比較的多いので、日本人に限ると少し増えるかもしれないが、全体だと実は1割くらいかもしれない。もしも全く使ったことがなくても大丈夫だろうか…と思っている方がいるとしたら、大学や専攻にもよるとは思うが入学してからで全く問題ない可能性が高そう、というのが現時点での私のなんとなくの実感だ。少なくとも統計ソフトを使ったことがないからという理由で出願を断念することはないだろう。

 

私が履修したBiostatisticsのコースでは始まって2週目くらいから統計ソフトを使用する機会が登場した(もちろん、統計ソフトを使用することがコースの目的ではないので、生物統計の重要なコンセプトを学びながら一緒に統計ソフトも使っていきましょうという感じだ)。最初に基本的な操作方法を説明され、打ち込むべきcodeも書かれてあるので、STATAを全く使ったことのなかった自分でもついていくことはできた。それでも最初のうちは立ち止まることが多かったが、そのうちに段々慣れていった。 

 

MidtermとFinal examの話 ~Open-noteとClosed-note~

Assignmentはコースによっても異なるが、学期の中間と期末にある試験(Midterm, Final)は大体どのコースにもある。これらのExamはTrue/False(◯✕)、Multiple choice(選択肢)、Short answer(1~3 sentenceくらい)と形式は色々で、日本の大学とそれほど変わらない印象がある。

 

ExamにはOpen-note examとClosed-note examがある。資料をみながら試験を解いてもよいものがOpen、いけないものがClosed。

 

日本のときに未体験だったのでこちらで新鮮に感じたのが、Open-note方式の試験だった(最近は日本でもあるのでしょうか…)。これは、資料持ち込みOK、もっというとパソコンを見ながら解いてもOKという意味だ。さらに、教室で決められた時間に受ける試験もあれば、自宅や図書室等で受けてもよい試験もある。

 

Open-note examは最初「ラッキー」と思ったのだが、そんなに楽ではない。問題は大抵工夫してあったりして、授業のスライド等を調べても(”Ctrl+F”でkeywordを検索したりしても)すぐには答えに辿り着かない問題が多い。また、特に時間制限が設定されていない試験(例えば試験が配布された日の1週間後までに提出といったもの)は解答の質の高さも求められ、採点も厳しくなる。一方で教室で行われるOpen-noteの試験は大抵試験時間が短いため(普段の授業と同じ時間帯に試験がある)、ゆっくり調べている時間はない。それからコースによっては、学んだ知識ももちろん重要だが必要な情報に正確に素早く辿り着く能力も大切なので、Open-noteにしているという話をされている教授もいた。

 

Closed-note examは自分のノートやパソコンなど資料となるものはカバンの中にしまう形式、所謂普通の試験である。Open-noteよりも基本的な内容を問うているものが多いが、理解していないと全く分からないので、Closed-noteの試験の直前は毎回ドキドキしている。

 

Open・Closedに関係なくどのコースも良問が多いなぁと受けながら感心してしまうことが多い。もちろん試験中に「ほぉ、ほぉ…」などと感心している余裕はないのだが…。例えばEpidemiology(疫学)やBiostatistics(生物統計学)なら、ちょうどその学期に勉強した内容に関して最新の論文のFigureを利用して問題が作られていたり…。最新だからいいというわけではないのだが、工夫して作られているのが分かる。教授にとっては難しい作業ではないのかもしれないけど、すごいなと思う。

Assignmentの話 ~長めのPaper②~

学期末のPaperはページ数が多いときでも、事前に書くべき内容と構成について大枠を指定されることが多いということを書いた(長めのPaper①)。最初の頃は「このコースだからこういうことを書くように丁寧に指示してくれているのだろう、大変だけど有り難いな」とか思いながら取り組んでいたが、何回か経験すると大体どのコースのPaperも(少なくとも私が履修したコースでは)何らかの指示があることに気がついた。IntroductionやBackgroundから始まり、幹となる内容があり、最後にSummaryで結ぶ。そういった、起承転結のはっきりした文章を書くトレーニングをさせるのが目的の1つなのだろう。

 

TOEFL/IELTS等の試験においても、ハイスコアに届くために英文の構成を意識して書く(人が大多数だと思う)。例えば「主張、理由①、理由②、理由③、まとめ」のように。どのparagraphで何を書くか意識しながら書くと、徐々に制限時間内に書けるようになってくる。このような構成を考えなくても高得点が取れる人は、文章を書くことに慣れているか英語がとても得意か、というような要素があると思っている。

もちろん内容や量は異なるが、この延長線上にpaperの宿題はあるのかなと思う。writingは少なからず留学後も生きてくると思うので、TOEFL/IELTS/GRE等に取り組んでいる方は、ぜひ先につながると思ってがんばってほしいと思う。

Assignmentの話 ~長めのPaper①~

公衆衛生大学院(SPH)に限った話ではないと思うが、大学院ではたくさんのassignment(宿題)やquiz(小テスト)、exam(試験)がある。学期末の試験(Final)は通常のExam(50%)かPaper(35%)、Presentation(15%)のどれかで評価されることが多い。ちなみにそれぞれの頻度についての()内の%は私の印象で、Departmentや大学によっても異なってくると思うので信用しないで下さい…。

 

このうちPaperは大凡だが12 pointで1 inch margin、reference(参考文献)は別でWord10枚というように、文字の大きさなどが指定され、大体だが長さは3-10枚くらいの課題が多い。ただ、double spaceであることが多いので、行間を開けずに書くと5枚分になる。

 

『10枚の英文のレポート、、どうやって書くのだ?!』

 

最初はそう思った。なので、Finalに8〜10枚程度のpaperを課している授業は、(特に最初の頃は)もしもElective(選択コース)だとちょっと躊躇ってしまっていた。

 

留学前、英文を日頃から書く作業に慣れていない人は、TOEFL/IELTS、GREのwritingが最長に近いという人もいるだろう。そんな状態で留学するのはやめておこう…と思ってしまう人もいるかもしれないが、私はこれまで度々書かせていただいたように志望動機がしっかりしていて留学する準備ができている人はそれでもチャレンジしてほしいと思っている。

 

長いPaperの課題をどうやって書くことができるようになるのか。

実は、大体どのPaperも、特に長めの課題は書くべき内容をはっきりと明示してくれることが多い。

 

例えばEvidence synthesis(ある話題についてのエビデンスをまとめる課題)なら、

1. Introduction, Problem of interest(何について調べるか、問題の重要性は?)

2. Methodology(どうやってエビデンスを集めたか、どんなdatabaseや検索ワードを使用したか)

3. Agreement(複数の文献が同様の主張をしている点)

4. Disagreement(文献同士が互いに相反する主張をしている点)

5. Gaps(Introで挙げた話題・問題点について、まだ分かっていないこと)

6. Summary

といった具合に(*これは一例に過ぎません)。

 

与えられたそれぞれの内容について、ざっくりとだが1~2枚ずつ書いていくと10枚くらいになる。最初から10枚と考えると気が遠くなりそうだが、1,2枚なら何とかがんばれそう。

 

始めは本当に大変なのだが、大変なのは実は日本人だけでなく皆それなりに(おそらく)苦労していて、少しずつ慣れてくる。また、特に入学して間もない頃は教官やTeaching Assistantがサポートしてくれた。そうすると、段々枚数よりも内容が問題になってくる(当然といえば当然かもしれないが)。