Connecting the Dots

アメリカの公衆衛生大学院留学に関するブログです。

気持ちの再整理 ~海外のSPHを選択する理由~

近年、日本国内でもMPHを取得できる大学院が続々と開設されている。今後も多くの方々がPublic Healthの勉強に関心を持たれるのではないかと思い、Public Healthを体系的に学ぶ方法について改めてどういった基準で選択するのがいいか考えた。これまでも、~アメリカかイギリスか~や、 ~海外か国内か~~1年制 vs 2年制~の中で、簡単に述べさせていただいたが(正直読んでくださる方の参考になったかどうか、あまり自信はないが…)、改めて海外のSPHという選択肢を中心に自分の考え、気持ちを書いてみる。

 

SPH(公衆衛生大学院)に行くと決断した場合、

① 国内か海外か

②どこの国(地域)に留学するか

③ オンキャンパスかオンラインか

④ 1年制か2年制か(あるいは3年以上か)

以上のような選択の基準があると思う。

 

まず④について(~1年制 vs 2年制~の内容と一部重複する)。これは関連する職業の経験年数などにより、2年制以上しか選べないケースもある。1年制は短期間で卒業できるメリットがある一方で短すぎるというデメリットもある。Public Healthはとても広域にまたがる学問なので、範囲を相当絞って勉強するか、または(1つ1つの深さはある程度追求しないで)幅広く学ぶという目的で進学しないと、卒業時点で期待していた到達度には遠く及ばないという可能性もあるのではないだろうか。一方で2年制の場合、2年間学んだからといってどれくらいプラスアルファで学べるのだろう…という思いもする。ただ、2年制の主な強みは、1年目と2年目の間にインターンを経験する時間があることや、大学にもよるが2年目は研究に時間を長く割り当てられることだ。

 

③について。最近はオンライン上のカリキュラムでMPHを取得できるという大学も存在する。海外の大学院で学びたいけど、国内からまとまった期間は離れられないという方に向いているだろう。また、国内においてもオンラインのカリキュラムを持つ大学院はあり、海外の場合と同様、仕事の時間帯や通学の問題などでオンラインのMPHプログラムを選ばれる方もいる。私は出願時にはオンラインプログラムについてほとんど知らなかったのだが、オンサイトがよかったのでもし知っていたとしてもオンラインのプログラムは検討しなかったと思う。ただ、オンラインが合う方は必ずいると思うし、これしか選択肢がないという方にとってとても素晴らしい選択肢なのは間違いないと思う。

 

②について。以前の記事に書かせていただいた内容に付け足して話せるほど私に豊富な知識があるわけではないが、興味を持った場合はその大学や国で学んでいる現役生や卒業生に直接話を聞いてみるのが一番だと思う。

 

最後に①について。結局今一番書きたかったのはこの点である。最初から国内あるいは海外しか選択肢がない方もおられるが、迷われている方、また留学以前の私のように(やや漠然とでも)海外のほうがPublic Healthの教育における長い歴史もあり、専攻もコースも豊富にあり、学びたいことが学べそう・深められそうというイメージで海外に気持ちが動いているけど決め手までは持たれていない方がどう選択したらよいか。まず、「○○分野の△△についてより深く勉強・研究したいが、日本国内にそのような勉強ができる施設は聞いたことがない」という具体的な理由がある場合は迷わずgoだろう。

 

そこまではいかない場合、

おそらく、明確な答えはないだろう。

 

私自身も感じている海外のSPHに留学するデメリットとしては、

・金銭面

・日本での仕事から離れる(知識や技術を忘れていく)

・留学したからといって、何かが保障されるわけではない

・留学先での生活の様々な苦労

などが挙げられるだろうか。

+具体的な専攻分野等がない場合は苦労が増す可能性が高い。

 

メリットとして、自分が思っていることはいくつかあるのだが、私は日本のSPHを卒業したことはないので、日本の大学院と比較して~~だ、のようなことは言うことはできない。また、英語力とかディベート力などのスキルについては海外にいるほうが身につくのではないかと思っているが、それも自分次第だと思うし、国内にいながら英語で討論ができたり、論文をたくさん書ける方も大勢いらっしゃる。第一、そのようなスキルを身につけるためなら、何もSPHに留学する必要はないだろう。

 

どうして海外のSPHを選んだのか(選びたいのか)…。

 

渡米して1年が経過する今においても、「海外に出たかった。留学したかった。」という、かなり漠然とした思い、ただ自分にとっては強い気持ちがあったというのが正直な本音である。この気持ちに至った理由や背景もあると思うが、今回そこまでは深く掘り下げないでおく。

 

もちろん、アメリカで世界の第一線にいる教授のもとで学べるとか、よりcompetitiveな環境で勉強できるとか、疫学も生物統計も授業は素晴らしいし、様々な文化・背景を持った学生とinteractしながら学べるし、色々メリット(と思われること)や理由を書こうと思えば書けるのだが、一番は上記の気持ちなのかなと思っている。